高校生の頃、一学年上のボーイフレンドと付き合っていた。
学校が違ったので、放課後待ち合わせをしてデートをした。
その頃はまだマクドナルドもファミレスもなかったから、喫茶店に入ることが多かった。
スパゲティを食べたり、フルーツジュースも好きだった。特にバナナジュースには目がなかった。
コーヒーは苦手だったけれど、コーヒーゼリーは大好きだった。
パフェはあまり食べなかった。背伸びしていたのかもしれない。
その後彼は一足先に高校を卒業して東京へ進学し、別れてしまった。よく行っていた喫茶店も閉店した。
それからマクドナルドができ、ファミレスができ、さらにドトールやスターバックスやタリーズができて、
いわゆる「喫茶店」の数は少なくなってしまった。
今、カフェの喧騒の中にいると、誰もがくつろげる空間であることはもちろんすてきだ。
でも、高校生が騒げない雰囲気の喫茶店で垣間見た大人の世界では貴重な体験をさせてもらったと思う。
重厚な生地の椅子、その白いカバー、丁寧な接客や、低く流れるクラシック音楽。
「お子様お断り」と張り紙の貼ってあるコーヒー専門店。
カジュアルになりすぎない適度の「よそゆき感」が、
結局はお互いの居心地のために必要なのだということを学んだ。