小学校6年生くらいの時だった。
その日は何か用があって父について出かけたのだろう。
なんとなくおなかがすいてきて、たまたま近くにあったミスタードーナツへ入った。
ふたりでそういう店に入る機会はめったになかったから、うれしくてうれしくて何を食べたか憶えていない。
ただ、はっきりといまでも思い出せるのは
父が選んだゴールデンチョコレート。
自分はまず選ぶことのないドーナツだったので
金色のツブツブがまぶしく、大人に見えた。
実はけっこう甘いそれを少しわけてもらって、
父とのデートは終わった。
店は移転して
今はもうその場所にはない。